日時:2001年10月26日(金)9 : 00 〜11 : 30
場所:京都宝ヶ池プリンスホテル 高砂
オーガナイザー
北島 健(名古屋大学生物分子応答研究センター)
秋吉一成(京都大学大学院工学研究科)

 
09:00 S33-1 バイオインスパイアード材料
 
明石 満(鹿大・工・応化工) [643]
09:24 S33-2 グライコモジュール化法による生理活性糖鎖ライブラリーの構築
 
西田 芳弘, 佐々木 健二, 小林 一清(名大院・工・物質制御) [644]
09:48 S33-3(4P-325) ウイルス感染における受容体結合と人工受容体分子
  鈴木 康夫, 郭 潮潭, 鈴木 隆, 宮本 大誠, 左 一八, 戸谷 一英, 村田 健臣, 碓氷 泰市, 蟹江 治, 中西 真人, 小林 一清(静岡県大・薬・生化, 静岡大・農・応用生化, 三菱化成・生科研,阪大・微研・神経ウイルス, 名大・院・工・物質制御) [998]
10:03 S33-4 ヌクレオシドと糖を有するポリマー上への細胞接着
  畑中 研一, 谷地 義秀, 粕谷 マリアカルメリタ, 久能 めぐみ, 松永 早絵2(東大・生研, 東工大・生命理工) [644]
10:27 S33-5 DNAコンジュゲート・ナノ粒子を利用した高性能遺伝子診断
  前田 瑞夫(九大院・工・応化, 理研) [644]
10:51 S33-6(4P-310) 人工的遺伝子発現制御を指向した3重鎖DNA形成の促進:複数の安定化方法の併用による協調的な安定化の達成
  鳥越 秀峰, 花岡 文雄, 赤池 敏宏, 丸山 厚(理研・細胞生理, 阪大・細工セ, 東工大・生命理工) [996]
11:01 S33-7 人工分子シャペロンの設計
  秋吉 一成(京大院・工・合成生物化学) [644]
11:25 総論
  北島 健
 

 生体系における機能や概念を工学的に実現するバイオインスパイアード材料は、現在、生体模倣あるいは高機能材料として再生医工学、医療、診断領域における利用が盛んである。一方、最近、このような人工高機能材料が、生命現象のモデル構築や解析手法に役立つことが例証されており、まさに材料化学・工学と生物学のクロストークが生命科学の有力な方法論として注目されている。このシンポジウムでは、生化学分野におけるバイオインスパイアード材料の創成と利用の現状および将来への大きな可能性について広く生命科学者に発信する。
 ヒトゲノム計画の終結とともに生命科学は新しい時代を迎えている。これらの圧倒的に大きな遺伝子配列情報の利用は、そのあり方も含めて生命科学に大きな変化をもたらすと考えられる。しかし、実際には、大量・多数の遺伝子およびその産物をどう正確に扱うかというハード面の技術革新が、何よりの決め手となる。すなわち、生化学・分子生物学的解析あるいは遺伝子工学を格段に押し進める材料・技術基盤の開発が最重要課題である。本シンポジウム企画は、そのような視点も意図している。すなわち、生命科学との関わりの中で、高度に利用価値のある材料(バイオインスパイアード材料)の開発に取り組む研究を取り上げており、生命科学の各方面における研究発展の一助となるものと考えている。
 各講演者が開発した夢のような材料の有用性もさることながら、いずれ劣らぬ発想の斬新さを堪能していただきたい。どうぞご来聴を。

 明石 満(鹿児島大学 工学部) 「バイオインスパイアード材料」:ポストゲノム配列の時代において、何故、バイオインスパイアード材料が注目されるのか? バイオインスパイアードという新しい考え方、発想が、新しい材料開発ひいては新産業創成において如何に重要か? また、バイオインスパイアード材料が新技術としてどのように生命科学進展のブレイクスルーと成りうるか? これらの質問に対して、その成功例を交えながら講演いただく。
 西田芳弘(名古屋大学大学院 工学研究科) 「グライコモジュール化法による生理活性糖鎖ライブラリーの構築」:細胞同士あるいはバクテリアなど外来細胞と宿主細胞間の認識は、細胞表面局在分子(多くの場合、糖鎖)の特異的かつ特徴的な構造によって裏付けられる。演者は、バイオインスパイアードの発想をもって、グライコモジュール化法という新しい方法論を開発し、高度な認識様式を比較的簡単な構造単位のあらゆる組み合わせとして高分子材料化した。さらにライブラリー化によって、より一般性のある認識材料の提供を目指している。
 畑中研一(東京大学 生産技術研究所) 「ヌクレオシドと糖を有するポリマー上への細胞接着」:接着タンパク質や糖鎖を接着基質とする細胞接着現象の研究は広く行われているが、演者は、核酸を有する合成ポリマーが細胞接着基質となるという興味深い現象を見いだした。この核酸含有ポリマーは単なる生体分子の模倣ではなく、生体分子を超越する、まさにバイオインスパイアード材料である。さらに、タンパク質、糖鎖、核酸を使い分けることによって、細胞接着性ひいてはその機能を制御する新しいシステムの構築を可能にするものである。
 前田瑞夫(九州大学大学院 工学研究院) 「DNAコンジュゲート・ナノ粒子を利用した高性能遺伝子診断」:一塩基多形の解析は、ポストゲノム配列時代の大きな課題のひとつである。このような一塩基多形を検出することは、生体内で起こるDNA鎖同士のハイブリダイゼーションを模倣する通常の方法では不可能である。演者は、この一塩基多形を峻別しうる高性能DNAナノ粒子を構築した。この高性能ナノ粒子は、生体分子の機能をはるかに超越するバイオインスパイアード材料である。
 秋吉一成(京都大学大学院 工学研究科) 「人工分子シャペロンの設計」:ポストゲノム研究におけるタンパク質の機能解析において、きちんとフォールディングされたタンパク質を得る技術の開発はきわめて重要である。演者は、生体においてタンパク質のフォールディングを助ける分子シャペロン系にインスパイアードされた人工分子シャペロンシステムの構築をめざしており、分子シャペロン機能をもつ画期的な材料として、疎水化多糖からなる両親媒性のヒドロゲルナノ微粒子の開発に成功した。

北島 健
  名古屋大学生物分子応答研究センター
  Tel: 052-789-4297; Fax: 052-789-4128
  E-mail: kitajima@agr.nagoya-u.ac.jp
秋吉一成
  
京都大学大学院 工学研究科
  Tel: 075-753-5637; Fax: 075-753-5912
  E-mail: akiyoshi@sbchem.kyoto-u.ac.jp