Proteoglycan
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シンデカンとグリピカン - 細胞表面プロテオグリカン

  膜貫通型ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)であるシンデカン(Syndecan)ファミリーは、4つのメンバー(Syndecan-1/Syndecan, Syndecan-2/Fibroglycan, Syndecan-3/N-syndecan, Syndecan-4/Ryudocan (Amphyglycan))の存在が知られている(1、2)。これらのHSPGはそれぞれ細胞種に特異的な分布をしており、血管内皮細胞においてはSyndecan-1、-2、-4の発現が主に細胞間・基底膜側に見られる。SyndecanファミリーはI 型膜蛋白に属し、互いにその膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインにホモロジーをもつファミリーを形成していることが判明している。また、この膜貫通−細胞内ドメインには位置の保存されたチロシン残基が4個存在しており、いずれかのチロシン残基がリン酸化されることにより細胞内情報伝達に関与する可能性も指摘されている。


 最近、これらの細胞内ドメイン端はSyndecan-1では細胞内マイクロフィラメントとの会合に、Syndecan-4ではfocal adhesionに関与していることが示されている。さらに、マウス乳腺上皮細胞よりクローニングされたSyndecan(Syndecan-1)では、GAG (Glycosaminoglycan) 糖鎖にヘパラン硫酸のほかコンドロイチン硫酸がありこれらの比率とサイズは発現される組織により異なっていることが報告されている。また、Syndecan(Syndecan-1)はラットの微小血管内皮細胞で抗凝固活性を持つHSPGとして発現されていることが報告されたり、ゴールデンハムスターからはbFGFレセプターとして単離され、発現する細胞ごとに異なる機能を持つようなGAG糖鎖の修飾が行われていることが予想される。


 一方、細胞表面上に存在する膜結合型HSPGにはもう一つ、グリピカン(Glypican) ファミリーがあり、現在までのところ5種類(Glypican-1/Glypican, Glypican-2/Cerebroglycan, Glypican-3/OCI-5, Glypican-4/K-Glypican, Glypican-5)存在することが報告されている(2、3)。グリピカンファミリーは、コンパクトな立体構造形成に必要な14個のシステイン残基や、糖化ホスファチジルイノシトール(GPI)と共有結合して細胞膜に繋留しているCOOH末端構造が存在する。Glypicanファミリーは主に細胞先端側の細胞膜上に分布しているが、やはり細胞種特異的に発現しており血管内皮細胞にはGlypican-1だけが存在しているといわれている。また、Syndecanと同様にそのヘパラン硫酸糖鎖を介してFGFファミリーの生物学的活性を調節していることが示唆されている。
図

図の説明
細胞表面ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)ファミリー:(GAGは省略)
 膜貫通型シンデカン(syndecan)とGPIアンカー型グリピカン(glypican)GAG糖鎖付加部位(赤線)、シンデカンの相同膜貫通ドメイン(紺色)および細胞内ドメイン(緑矢印で示した部分)、保存チロシン残基(赤点)、シンデカン-3のThr, Ser, Proリッチドメイン(斜線)、グリピカンのコアタンパク(青色の実線)およびGPI(紺色部分)。(文献2から改編)
小嶋 哲人(名古屋大学・医学部)
References(1) Bernfield M, Kokenyesi R, Kato M, Hinkes MT, Spring J, Gallo RL, Lose EJ: Biology of the syndecans: a family of transmembrane heparan sulfate proteoglycans. Ann. Rev. Cell Biol., 8:365-393, 1992.
(2) Rosenberg RD, Schworak NW, Lui J, Schwartz JJ, Zhang L: Heparan sulfate proteoglycans of the cardiovascular system. Specific structures emerge but how is synthesis regulated ? J. Clin. Invest., 99:2062-2070, 1997.
(3) Veugelers M, Vermeesch J, Reekmans G, Steinfeld R, Marynen P, David G: Characterization of glypican-5 and chromosomal localization of human GPC5, a new member of the glypican gene family. Genomics 40: 24-30, 1997.
1997年 12月 15日

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