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Oct 03, 2022

ガレクチンの一生:細胞及びin vivoの役割を知る上で必要な時間、濃度、親和性に関するいくつかの問い
(Glycoforum. 2022 Vol.25 (5), A12)

DOI: https://doi.org/10.32285/glycoforum.25A12J

Hakon Leffler

Hakon Leffler

氏名:Hakon Leffler
Hakon Lefflerは、スウェーデンのヨーテボリ大学で1974年にMD、1981年にPhDを取得し、1985~86年にカリフォルニア大学サンディエゴ校でSH Barondesのグループに加わった。1986~1997年にBarondesとともにカリフォルニア大学サンフランシスコ校に移り、以降スウェーデンのルンド大学に所属、現在は上級教授(Senior Professor)を務めている。PhD時、及び初期の研究では、スフィンゴ糖脂質の単離と構造、細菌接着の受容体としての役割をテーマとした。1985年以降は、ガレクチンに関する生化学的研究(発見や特異性解析)、構造と細胞における働きに関する研究を主として行っている。共同研究の過程で強力な阻害作用を有する低分子化合物の開発に携わり、そのいくつかは現在、線維性疾患やがんに対して臨床試験が進行している。この経緯から、Galecto Biotech AB社(現Galecto Inc.;NASDAQ:GLTO)の共同設立者となっている。

要約

ガレクチンは小さな可溶性の糖鎖結合タンパク質からなる家系であり、数多くの細胞機能に関与することが知られている。具体的には、炎症や線維症、がんなどの疾患に対する診断や治療標的として注目を集めている。しかしながら、ガレクチンの役割は枚挙に暇がなく、ありとあらゆる生命現象(コンテクスト)に絡んでいるのが事実である。例えば、ガレクチンは細胞内でも細胞外でも、低濃度でも高濃度でも作用し、また、緩徐にも迅速にも機能し、低い特異性で働くこともあれば高い特異性での機能もある。このため、「これがガレクチン家系の、あるいは特定のガレクチンの機能である」という具合にガレクチンの機能を一言で言い表すのは難しい。本稿では、ガレクチンに残された、興味深く、かつ重要な未解決問題を読者に提起するために、上記の現象を具体的に述べながら、ガレクチンの一生を論じてみたい。ただし、ここで述べる事柄は必ずしも正確を期したものではない。とは言え、内容は概ね正しく、ガレクチンにまつわる多くの疑問を明示するのに役立つだろう。

また、この論評はけっして包括的ではなく、引用した文献は、たまたま著者が出くわしたものを選んだにすぎない。数多ある関連論文から公平を期して選択したわけでもない。もしかしたら、議論に出てくる一部の疑問については、すでに誰かが答えているかもしれない。気づいた方がいれば、他所でコメントしていただければ幸いである。

1. ガレクチンの一生図 1、詳細は文献1参照)

ガレクチンの細胞内外の局在を論じるとき、脂質膜を境とした二つの主要コンパートメントに分けて考える必要がある。留意しなければならないのは、ガレクチンがそのうちの一方から他方へ移る際には脂質膜を通過しなければならないことだ。一つは細胞質―核コンパートメントである(図 1、グレイ色領域のCとN)。ガレクチンは細胞質で合成されるが、核などのつながっているコンパートメントには、脂質膜を通過することなく入ることができる。もう一つは細胞外―小胞内のコンパートメントである(図 1、白色領域のEとV)。ここでは、まずガレクチンは脂質膜を通る必要があり、それができないとこのコンパートメントには入れない。単純化して、以下の様なループ(循環経路)を想定してみよう:1)細胞質―核コンパートメント内での合成、滞留と機能発現、2)何らかのシグナル発動によって誘導される脂質膜の通過(図 1、?マークがついた赤い枠矢印)、3)細胞外、ないしエキソサイトーシスに関わる小胞での滞留と機能発現、4)細胞膜上における複合糖質(図 1、緑のライン)への結合とエンドサイトーシスによる小胞への再取り込み、5)小胞、エンドソーム、リソソーム、トランスゴルジネットワーク(TGN)から成る細胞内システムへの分布と機能発現。このモデルは、大筋では実験的検証がなされているが、まだ多くの疑問が残されている1,2。さて、微小胞の形成と細胞膜からの遊離(図 1、B)はエネルギーを要するプロセスで3-5、このため、ガレクチンが通過するループは一方向性である。エンドサイトーシスされたガレクチンが細胞表面にリサイクルされることも可能であるが、これは、侵入経路を後ろ向きに進むことによるものではない。リサイクリング・エンドソーム、またはTGN(図 1、RとT)と、微小胞と細胞膜との再結合(図 1、F)を介する別のエネルギープロセスを必要とする一方向性の経路によるものである。その他のサブループも、一方向性かもしれない。例えば、ガレクチン-3の核への侵入と退出には、ガレクチンのアミノ酸配列内にある、それぞれ別モチーフの認識が必要のようだ6,7

図1
図 1. 細胞内 ガレクチン経路
細胞質―核コンパートメント(CN, 二つの色調のグレイ)は核膜孔でつながっている。
細胞外(E)と小胞内(V)のコンパートメント(白)はエンドサイトーシスとエクソサイトーシスによって、位相的につながっている。
片側にガレクチンが結合する糖鎖(緑の線)が存在する膜(濃い青の線)は、細胞膜、取り込まれた小胞、トランスゴルジとそのネットワークにつながっている。
すべてのタイプのガレクチンは一量体CRDとして表している。
ガレクチンによる細胞表面リガンドの架橋(cross-linking)は細胞表面の糖タンパク質受容体発現を制御していると提唱されている。すなわち、エンドサイトーシスによる受容体の取り込みを阻害(ガレクチン格子(lattice)仮説)、あるいは、促進(GL-Lect仮説)する。
濃い赤の矢印は細胞内外でのガレクチンの経路または影響を示している。本論文と関連する未解明の経路は、点線の矢印と?マークで示されている。
小さな丸の連なった矢印は、ガレクチンの細胞内輸送経路を示す。小胞(~100 nm)に取り込まれたガレクチンは、リソソーム、トランスゴルジネットワーク、様々なタイプのエンドソームやエクソソームといった特定機能を持つ様々な比較的大きな小胞(~1000nm)へ輸送される。
塗りつぶしなしの矢印は、まだメカニズムが不明確の非古典的な(non-classical)ガレクチン分泌を示している。

特定のタイプの小胞や構造は以下のイタリック文字で示されている:
A, 損傷した小胞を取り込んでいる新生オートファゴソーム
B, ガレクチンによる糖タンパク質架橋により促進()または、阻害()されるエンドサイトーシスによる膜陥入、ピットの形成及び細胞内へのブッディング
D, ガレクチンが集積する損傷した小胞(点線)
F, エキソサイトーシスの過程である小胞と細胞膜の融合
L, リソソーム
P, プロテアソーム
R, リサイクリング・エンドソーム
T, トランスゴルジネットワーク(TGN)
BF相対的な大きさは、実際には赤い小さな丸の程度の大きさであるが、明瞭にするために大きく描かれている。

2. 機能の探索

ガレクチンの機能は、他の多くの生体分子で使われる規範的な実験手法によって調べられている。その一つは、ガレクチンそのものの詳細な生化学や構造に関する手法であり、この点については別のグライコフォーラムで議論したい注1。もう一つの方法は、ガレクチンを細胞に添加し、何が起こるのかを調べることである。あるいは、自然に発生する、又はいくつかのシグナル伝達分子によって誘導される、細胞、組織や生物個体におけるガレクチンの発現量を注視し、機能との関連を検討するという手法もよくとられる。その研究の延長として、ときに、遺伝学的手法を用いて、細胞やマウスでガレクチン量を抑制するという実験が行われる。このような手法を用いれば、どのようなときに特定のガレクチンが特定の生理的、又は病態生理学的機能を律するのかについて、極めて有用な情報が得られる。ここで追記すべきこととして、ガレクチンの遺伝子抑制により失われた機能が、細胞の外から添加されたガレクチンによってレスキュー(救済)される場合があることである。このような救済現象は通常他の分子では起こらない8-10。したがって、添加されたガレクチンが細胞外―小胞内コンパートメントに再分布し、失われた機能が見かけ上取り戻されるようである。そのような結果については、もう少し後の段落で論じてみたい。

ガレクチンの機能をより深く理解するには、これらの実験手法を組み合わせ、結果を慎重に考察することが重要である。この点について、読者は公表された研究報告を読む際に、実験の細部にまで注意を払う必要がある。ガレクチンの研究では、得てして、表面的な解釈が、その根拠となっている実験記述の不十分さと相まって、誤解へと導かれてしまうことがある。本来はもっと探るべき研究方向があるのに、そちらから目をそらしてしまう。悪魔は細部に宿る!(編集者注1)

編集者注1:英語の格言(The devil is in the details)で、「神は細部に宿る(英: God is in the details)」の転用とされる。細部に隠された罠や不可解な要素を見落としてはならないとの暗示で、一般に、一見、簡単にできそうなことでも、完成までに予想以上の労力を要すること、または、細部に隠されているために見つかりにくい重要な点に気が付かなかったために、失敗または異なる方向に進んでしまうことの意で用いられる。

3. ガレクチンが機能するために必要な濃度とは?

細胞によってはガレクチン濃度が極めて高いことがある。例えばマクロファージや上皮細胞内のガレクチン-3がこれに該当し、MDCK細胞では5 µMと推定される11。ガレクチン-10は好酸球で最も豊富に存在するタンパク質であり、放出後には結晶形成さえする12,13。しかし、ガレクチンは上記よりずっと低濃度でも、機能発現に関与することが、遺伝子欠損やmRNA抑制実験から得られた証拠により示されている。例えば、先のMDCK細胞の場合、ガレクチン-3と比較してガレクチン-9の発現量は100倍も低い14,15。血清中では、ガレクチンは通常、pMレベルか(例:ガレクチン-3)、低いnM濃度レベルである。ガレクチン-3、又は-8の遺伝子抑制によって失われた積荷のエンドサイトーシスをレスキューするために、わずか0.3 nMのガレクチンの添加で事足りることが示されている。このことから、ごく低濃度であっても理論的にガレクチンの機能を説明することは可能である9,10。さらに、ガレクチンは血清中に低濃度で存在する。しかしながら、多くの臨床バイオマーカーで見られるように、血清中に存在するガレクチンが低濃度なのは、炎症などを起こした細胞や間質組織からガレクチンが漏出したことを反映しているだけなのかもしれない。間質組織の濃度と寿命は、他の多くのタンパク質と同様、ガレクチンについてもほとんど不明である。

4. ガレクチンの寿命は全体と個々の段階でどのくらい、そしてどこで分解される?

ガレクチンの半減期を解析した研究は少ない。しかし、その報告や間接的な証拠から、ガレクチンの寿命は比較的長いのではと考えられる。例えば、ガレクチン-3の半減期は、コンフルエントな状態のMDCK細胞の場合、72時間を超える11。細胞質ガレクチンが細胞内で分解されるか否か、さらにはどのようにして、どこで分解されるのかについては報告がないのでわからない。プロテアソームで分解されるのだろうか(図 1、P)。あるスクリーニングで見出されたガレクチン-1と3のユビキチン化がそのこと(編集者注:ユビキチン修飾経由のプロテアソーム分解経路)を示しているのかもしれない16。あるいは、それに加えて、細胞がガレクチンを培地中に放出することにより(図 1、赤枠矢印)、ガレクチンを除去するのかもしれない。細胞質から細胞外―小胞内コンパートメントに向かう脂質膜の通過は何らかの制御を受けており、いくつかのシグナル伝達の後に2,17,18、あるいは特定の状況下で19,20、この膜通過のプロセスが起きるのだろう。それでは、ガレクチンは細胞質コンパートメントにどのくらいの時間留まるのか? また、細胞外―小胞内コンパートメントでは何が起こっているのか? いくつかのガレクチンに見られる非糖鎖認識ドメイン(非CRD)は、細胞外の酵素、例えばメタロプロテアーゼ、エラスターゼ、トロンビンなどに対し感受性が高いが21-24、CRD自身はこれらの酵素に対してかなり安定である。細胞外に放出されたガレクチンは、エンドサイトーシスによって再び取り込まれ、最終的に細胞内小胞に到達することが可能かもしれない1,2,9,25,26図 1)。しかし、ガレクチンが細胞質コンパートメントから出た後に、再び細胞質内に入ることができたという証拠はない。分泌とエンドサイトーシスによる再取り込み、そしてガレクチンで覆われた、損傷した小胞がオートファジーにより処理される複雑なプロセスを考慮すると1,2,27-29図 1,DとA )、放出されたガレクチンの究極の最終到達地はリソソームと考えられる(図 1、L)。しかし、リソソームでのガレクチンの分解に関する実験報告はない。蛍光標識ガレクチンを追跡した実験例によると、エンドサイトーシス後、ガレクチンは長時間(24時間)そこに留まっているらしい30。ガレクチンが非酵素的に失活したり、コンフォメーション変化を起こしたりすることもあり、中でもガレクチン-1の酸化はよく知られている31,32

5. 時間に関する疑問

精製された天然リガンドに関する限り、ガレクチンは溶液中で拡散律速の原理で結合するようだ。言い換えれば、いったん分子同士が十分近づいたら、結合は速やかに起こる。このことはおそらく、4℃での細胞表面とガレクチンの結合にも当てはまるが、結合の時間経過を詳細に調べた研究はほとんどない。37℃で細胞に添加された蛍光標識ガレクチンは、速やかに(数分以内)細胞に取り込まれる1,9,25,26。エンドサイトーシスで取り込まれたガレクチンは、最初に微小胞内に認められ(図 1、赤い小さな円)、それから種々のより大きなエンドソームに速やかに移動する(1秒あたり1 µmの移動)9,26,30。約10~20分間でソーティングが行われた後、新たな微小胞が形成され、別の種類のエンドソームに向かう。

迅速な細胞応答、例えば好中球における酸化的バースト33や細胞内カルシウムの動員34、あるいはエンドサイトーシスピットの構築9などは、ガレクチンの添加後、数秒~数分以内に起こる。

細胞質において、損傷した小胞へのガレクチンの結合(図 1、D)は、もう一つの極めて迅速なプロセスであり27、その時間経過については詳細に研究されている35。ガレクチンは、数秒以内に損傷した小胞の周囲に集積する。これに連動して起きるオートファジー(図 1、A)は複雑なプロセスであるが、ガレクチンの結合に引き続き迅速に(分単位で)起きる。おそらく、その他の細胞質リガンドへのガレクチンの結合も極めて速やかに起こると予想されるが、この点に関する解析はまだなされていない。

一方、ガレクチンに関する実験のほとんどは、上述のプロセスよりはるかに遅い時間スケールで行われていることに留意すべきである。したがって、短い時間スケールでの解析をさらに実施する必要がある。

ガレクチンを細胞に添加する実験のほとんどで、検討される効果は数時間から数日後に観察される。分子レベルで起こるガレクチンの結合は迅速なので、いったい何にこれほど時間がかかるのだろう? ここで観察される遅延効果は、直線的、分岐的、また更なる複雑なネットワークが関与する多くの分子的なプロセスが生み出す結果かもしれない。そのいくつかのプロセスにはガレクチンが直接関与するだろうが、そうでないこともありうる。または、いくつかの分子がゆっくりと蓄積、ないし分解されるため、一定の時間がかかるのかもしれない。いずれにしてもガレクチンの直接的役割が何なのかは、依然として不明であり、更なる分析が必要である。細胞や動物を用い、遺伝学的技術によってガレクチンの発現を抑制する実験でも、効果の検出が可能になるまでの時間スケールが、必然的にやはり長い。そのため、観察される効果はガレクチンの消失によるものに加え、ガレクチン発現抑制に対するいくつもの間接的な細胞応答によるものも含めて解釈する必要がある。それでも、そのような実験では、発現を抑制されたガレクチンが、測定を行ったプロセスにおいて、直接的、又は間接的に、何らかの律速因子になっていることはまちがいない。

強力で特異的な低分子のガレクチン阻害剤が開発されれば、ガレクチンの阻害から観察される効果までの時間間隔を短縮した興味深い解析が可能になるはずだ。しかし、これまでのところ、そのような可能性を示した報告はほとんどない36

6. 濃度、親和性、用量反応に関する疑問

溶液中、又は人工的に作成された表面上で、ガレクチンは糖タンパク質などの天然型リガンドに対して、Kd(解離定数)0.1~5 µMくらいの見かけの平衡親和性をもつ。ガレクチンが多価であること(multivalency)はリガンドを架橋するために重要だが、それによって基本的な親和性や実際の結合力(avidity)が大幅に高まるわけではない37-39。さらに、多くの場合、ガレクチンは機能する有効な濃度では単量体で存在する。例えば、ガレクチン-1は0.1 µM38、 ガレクチン-3は100 µM以下の濃度37では、ほとんどが単量体として存在する。これらのガレクチンはそれぞれに対するリガンド存在下で二量体、または多量体を形成することが、生物学的機能の誘導に必須のステップとされる。しかし、その形成のタイミング、(編集者注:多量体による)架橋効果、および、その親和性への影響の詳細はほとんど不明なままだ注1

ガレクチンは多種多様なリガンドに様々な親和性で結合するため、細胞との結合が飽和状態になることは想定しにくい。ただし、結合、又は生物学的効果に必要な、最大濃度のおよそ半分という見積もりや、いくつかのより詳細な研究から、細胞表面のリガンドに対する親和性はおおよそ0.1~5 µMと見積もることができる23,40-43。これは、例えば好中球における酸化的バーストのような、何らかの迅速なシグナル伝達を引き起こすのに必要な添加ガレクチンの濃度とも一致する44

一方、著しい例外もある。上述のように、ガレクチンの発現を阻害したとき失われた効果を、外部からガレクチンを加えることによってレスキューできた場合である。そのような実験(例:エンドサイトーシスに関するもの)では、レスキューに必要なのは、かなり低いnM濃度のガレクチン添加であった。さらに不思議なのは、より高濃度のガレクチンを添加した場合、逆にレスキュー効果が阻害されるケースがあったことだ9,10。どうしてこのようなことが起こるのだろう。非常に高い親和性をもつ何らかの天然リガンドが、見落とされているのであろうか。強力な合成ガレクチン阻害剤の開発により、一価親和性であっても、ガレクチン糖鎖結合部位に対し低いnMの解離定数(編集者注:低いほど結合が強い)を持つ分子構造が可能であることが示されているが45,46、そのような天然リガンドはまだ見つかっていない。あるいは、親和性が格段に高くなるような、何か立体的に精緻な多価性のしくみがあるのだろうか? それとも、可逆性のガレクチン結合が、直後に起きるエンドサイトーシスのような不可逆的な現象と共役するなどして、平衡結合反応から予測される現象に反した用量依存反応が起こるのであろうか?

まったく正反対のケースとして、ガレクチンによるアポトーシス誘導に関する多くの研究がある。これらの研究では、細胞を極めて高濃度のガレクチン、例えばガレクチン-1であれば10~20 µM、ガレクチン-3であれば5~10 µMといった濃度で長時間インキュベートする34,47,48。ほとんどの実験では、一つ、又は複数の特異的受容体が活性化されてアポトーシスを誘導すると仮定しており、そのような受容体を同定することが目的とされていた。しかし、今後は、長時間の遅延、異なるエンドサイトーシス経路やその他の因子を考慮に入れた上で、それらのデータを再解釈する必要があるだろう。一つの考え方として、例えば、20 µMのガレクチンと37℃で8時間インキュベートした細胞は、処理できるよりはるかに多くのガレクチンを取り込んでいる可能性がある。この過負荷によって生じるストレスや傷害が、ひょっとしてアポトーシスやホスファチジルセリン(PS)曝露の理由かもしれない。上述のように、エンドサイトーシスされたガレクチンの長期的スパンでの運命については、ほとんどわかっていないのが現状である。つまり、ガレクチンがどこで分解されるのか、再び細胞から出ていくのか、細胞が取り込める量に限界があるのかなどが未解決課題である。いくつかの研究では、ガレクチンによるPS曝露は可逆的で、培地中のガレクチンが除かれた後に回復することが示されている。これはおそらく、細胞がガレクチンの過負荷から解放されたためだろう。

7. エンドサイトーシス、リサイクリングとガレクチン格子

ガレクチンと細胞表面糖タンパク質受容体間の架橋格子(lattice)形成モデル(図 1、表面に凝集しているガレクチン)は、いくつかの受容体のエンドサイトーシス阻害と、その阻害により増加した受容体によるシグナル伝達を説明するのに役立つ49,50。さらには、このような現象がGlcNAcの効果及びGlcNAcの代謝的アベイラビリティと関係するN型糖鎖の分岐のレベルと、どのように連動するのかを51を説明するためにも有益なモデルとなっている。ただし、最近のレビューで述べられているように、これに関する研究のほとんどは、細胞表面のガレクチン格子と、それにより影響を受ける糖タンパク質受容体のエンドサイトーシスに焦点を当てたものであり、ガレクチンそのもののエンドサイトーシスに注目したものではない52。他の研究では、上述のように、細胞に添加されたガレクチンは速やかにエンドサイトーシスされる傾向があり、さらにガレクチンにより、主にクラスリン非依存性エンドサイトーシスによる、特定の糖タンパク質のエンドサイトーシスが増加している可能性がある。ガレクチン-3についてはその詳細なメカニズムが提唱され、GlycoLipid-Lectin(GL-Lect)仮説と呼ばれている9,26。細胞表面に常在するガレクチン格子に関する証拠は十分とは言えないが、これは細胞の種類ごとに異なる可能性がある。かつて、とても入念にデザインされた研究手法において、細胞上のガレクチン-3凝集体がFRET(編集者注2)により可視化された53。それらの安定性の推定も試みられたと推察するが、細胞表面のガレクチンやエンドサイトーシス後の早期ガレクチンを識別することは困難であったと思われる。好中球では、凝集体が約10分間(無刺激細胞)、またはそれより短時間(刺激細胞)存続した。内皮細胞では、凝集体は細胞間結合部に認められ、蛍光ブリーチの30分後でも内在性ガレクチンの再分布が認められなかったことから、より安定しているように見えた。したがって、ほとんどの場合、ガレクチン相互作用は、架橋格子領域の分解と再編成により、速やかなターンオーバーをしているのではないか。このような緩やかな動態的見方では(編集者注:ガレクチン架橋格子が固定的なものでなく、形成と内部への取り込み(エンドサイトーシス)を繰り返しているため)、細胞表面のガレクチンや一時的なガレクチン格子が、異なる受容体のエンドサイトーシスを阻害したり増強したりすることができるのだろう(編集者注3)50。さらに、上述のように、エンドサイトーシスは可逆平衡ではなく、一方向性のプロセスである。ガレクチンが再び表面に出るためには、ソーティングに影響を及ぼす可能性のある、異なる局所環境(pHなど)を持つ種々のエンドソームから成るリサイクリング経路を通過しなければならない2,54。このことは、例えば標識ガレクチン-8をヒト線維芽細胞様細胞に添加した実験で示された(HFL-1、Carlsson, M. and Leffler, H.、未発表)。ガレクチン-8は数分後に細胞内小胞に認められたが、約10分後には、細胞膜近傍部位に集積し始めた。リサイクリング能を欠損したニーマンピックC由来の細胞では、ガレクチン-8が細胞内小胞にとどまり、膜に沿った集積を示さなかったことから、上記の集積はリサイクリングによるものと考えられる。このような結果を見ると、新たな疑問が生じてくる。リサイクリングしたガレクチンは、細胞外のガレクチン(外部から添加されたもの、または細胞膜にすでに存在しているもの)と比較した時、細胞表面において異なるプールに入るのか。もしそうであれば、それら二つの異なるプールはどのくらいの速さで相互作用し、混合するのか。

編集者注2:Fluorescence Resonance Energy Transferの略称。異なる波長特性をもつ蛍光色素で標識した分子同士の間でエネルギーのやり取りが起こる現象を利用して、分子間相互作用を解析する目的などに用いられる。


編集者注3:これまで、ガレクチン架橋格子の形成は、エンドサイトーシスを抑制する効果があることが、実験的に検証されている。これは、架橋形成により、いくつかの細胞膜上の糖タンパク質受容体やイオンチャンネルのエンドサイトーシスが物理的に遅延するためである。このため、それらの糖タンパク質は細胞膜上に一時的に足止めされ、結果、それらの膜タンパク質の機能が持続すると考えられている(ガレクチン架橋格子説)。一方、通常のエンドサイトーシスには、クラスリン依存性と非依存性の経路があり、例えば、GPIアンカーの膜タンパク質はクラスリン非依存性で細胞に取り込まれると考えられている。ここで、ガレクチンが糖タンパク質に結合し、クラスリン非依存性エンドサイトーシスを迅速に誘導すれば、その経路のエンドサイトーシスが増強される。このガレクチン誘導型のクラスリン非依存型のエンドサイトーシスは糖脂質(Glycosphingolipids)依存性であり(GL-Lect説)、また、エンドサイトーシスの際にヘアピン状の細胞膜の折れ曲がりが観察される。尚、上記のガレクチン架橋格子説のエンドサイトーシスはクラスリン依存性と推定される。

8. ガレクチンの糖結合の詳細な特異性と選択性

ガレクチンはガラクトースに対して明確な結合部位を有し、共通の親和性を示す1。ガレクチン-1及び-3にとっては、二糖のGalβ1-4GlcNAc(LacNAc)が天然に存在する糖鎖の中で最も単純で結合しやすい構成パーツであるが、他のガレクチンでは別のβ-ガラクトースを含む二糖に結合する場合がある43,55。さらに、コア二糖のいずれかの側に別の糖や何らかの修飾が加わることで、結合を促進したり阻害したりすることがある。よく知られていることだが、こうした性質は個々のガレクチンを特徴づける詳細な特異性の違いをもたらす42,43,55,56 注1。しかしながら、この詳細な特異性の生物学的役割については、限られた範囲内で検討されているにすぎない。以下、いくつかの例を挙げる。

コア二糖が何に結合しているか―例えばN型糖鎖―がこの詳細な特異性に関連することがある。細胞表面やその他の場所に存在する糖タンパク質には、通常一連のN型糖鎖が含まれる。その中でも、様々な糖修飾酵素を欠損した細胞と野生型の細胞との比較研究により、ガラクトースを含むハイブリッド型と複合型が、ガレクチンの主要な結合部位に関わっていることが示されている41,57,58。これらは通常、1~4本のアンテナ状の鎖を有し、それぞれの鎖には、ガレクチンに結合する可能性のあるLacNAc残基が含まれる。しかし、異なるガレクチンには異なるN型糖鎖に対する選択性が備わる41,59,60。さらに、このLacNAc残基から離れた部分の構造も重要らしく、たとえば、糖タンパク質におけるタンパク質部分などがそうである注1。天然の可溶性糖タンパク質がガレクチン-3に対して低~サブµMの親和性を示すには、少なくとも一つの3本鎖N型糖鎖が存在する必要がある8。インタクト状態の(編集者注:変性していない)天然の糖タンパク質は、遊離糖鎖よりはるかによく結合することから、結合には、ガレクチンとタンパク質の一部が相互作用していることが示唆される。N型糖鎖を二つしかもたないトランスフェリンのような糖タンパク質でも、(編集者注:ガレクチンを固定化した)アフィニティ・クロマトグラフィーによって、主に3本鎖のN型糖鎖を含むガレクチン-3結合プールと、2本鎖のN型糖鎖のみの非結合プールに分画することができる8。同様に、四つのN型糖鎖を有するハプトグロビンは、3本鎖または4本鎖のN型糖鎖をもつガレクチン-1結合プールと、それらの糖鎖を含まない非結合プールに分画することができる61。これら二つの血清糖タンパク質は、受容体を介するエンドサイトーシスによって、それぞれ鉄、又はヘモグロビンを組織の細胞に運搬する。いずれの場合も、両プールの血清糖タンパク質とも細胞膜上のそれぞれの受容体に同程度に結合するが、ガレクチン結合プールは、エンドサイトーシス後に、非結合プールとは異なる細胞内経路へと進む。他の例では、ガレクチン-3は組織由来のフィブロネクチンに結合するが、血清由来のそれには結合しない59。CD4にガレクチン-1は結合するが、ガレクチン-3は結合せず、それによりHIV感染において異なる効果がある62

このことから、特定の細胞表面糖タンパク質も、ガレクチン結合、及び非結合プールに分けることができ、さらに、それぞれのプールが細胞内で異なる運命をたどる可能性が示唆される。α5β1インテグリンのように63、多くのN型糖鎖付加部位をもつ複雑な糖タンパク質では、N型糖鎖は均等に分布していない。ガレクチンとつよく結合する3本鎖を持つ糖鎖が特定の部位に集中しているので、微細特異性はさらに複雑な様相を呈する。

さらに、詳細な特異性と選択性には、ガレクチンに親和性のあるコア構造の非還元末端側―主にガラクトース残基の3位の位置―に結合する異なる糖残基の存在が影響する。たとえば、エンドサイトーシス後にガレクチン-8が細胞内経路へとリサイクリングするには、細胞にシアル酸が発現していることと、これに呼応してガレクチン-8のN末端CRDがα2-3シアル酸で修飾されたガラクトースに対し、高い親和性を有するということが必要である。このことは脊椎動物ガレクチンの中では大変特殊なことである43,64,65。もし、この特異的な糖鎖の発現とリンクしたガレクチン側の親和性が遺伝子変異などで失われれば、ガレクチン-8はリソソームへと回収されてしまう64。別の例では、N末端CRDのシアル酸含有糖鎖への結合指向性を介して、ガレクチン-8は損傷した細胞内顆粒の中でも相手(編集者注:顆粒外に露出した糖タンパク質)を選別して結合することが示されている。この挙動は(糖鎖が)露出した(損傷した)顆粒のどの相手にでも引き付けられてしまうガレクチン-3などとは異なる性質である66。特記すべきは、ガレクチンがヒトのA型やB型の血液型構造と同じ糖鎖構造を発現している細菌に対して、殺菌効果を示すことである67。これらの構造では、β-ガラクトースの3位にα-ガラクトースかN-アセチルガラクトサミンが結合し、さらに2位にフコースが結合しているが、この修飾によっていくつかのガレクチンへの結合は増強されるが、逆に他のガレクチンでは減少する42,44,56。しかしながら、このような特異性が真核細胞でどのような生物学的役割を持つかは不明である。

これらの事例が示すように、ガレクチンの詳細な特異性は細胞に存在する複合糖質リガンドに対し明確な差別化を行い、かつ生物学的な機能の違いに結び付いている44。一方、ガレクチンの(糖鎖への)詳細な選択性の違いが果たす複雑な役割についてはまだ多くが未解明である。

9. 低親和性、低特異性相互作用

いくつかの研究において、ガレクチンは主にLacNAc残基に低親和性で結合するが、その結合の程度を決定するのはこの残基の密度であると指摘されている。結果としては、異なる糖鎖でもLacNAcの数が同程度であれば、生物学的に等価であるとの提案がなれている52。しかしながら、上述の例から、同じ数のLacNAc残基を持つ糖鎖であっても、ガレクチンの詳細な糖結合特異性も機能に重要な役割を果たすことが示されている。ある糖鎖配列が失われた場合、別の糖鎖が特定の機能的効果を代償する可能性があるが、おそらく全てを代償するわけではない。ガレクチンKOマウスでさえ、動物舎の条件下で概ね健康である。自然には、必要な機能を補い、解決する方法がいくつもあることがわかる。

本フォーラムにもたびたび登場する笠井教授は、クロマトグラフィーのような動的条件下、複数回にわたり平衡が再構築される状況においては、低親和性の相互作用でも高分解能選択性をもたらしうる、という興味深い意見を述べている68。上述したガレクチンループにおけるいずれかの段階、例えばソーティングエンドソーム内、又は細胞表面上で、こういった高分解能の選択が起こっているのかもしれない。

ガレクチンは、おそらく液滴様の複合体では、糖鎖リガンドと非糖鎖リガンドの認識の両方を介して37,69,70、あるいは、高濃度では(不自然ではあるが)、リガンドなしで71,72、ファジーでありながら選択的な相互作用の場を形成する可能性もある。この点も本Glycoforumの別の機会で議論したい注1

10. ガレクチンの細胞機能

上述した様に、細胞機能を考察する上で重要な構成要素として、細胞質における比較的高濃度での合成と滞留、何らかのシグナルにより誘導される外部移行、エンドソームへのリサイクリング、細胞内小胞ネットワークへの分布などが挙げられる(図 1)。途中には、損傷した小胞との相互作用のような、迅速に起こる様々なリガンドとの相互作用、および緩徐な相互作用があり、また、核内へのループ内外への移動がある。多くの相互作用が一つの細胞内で同時に進行している。そのような状況を踏まえた時、特定のガレクチンの機能をどのように考えればよいだろう? 恒常性調節因子であるのか、それとも傷害や敵の攻撃を受けたときのための防衛集団なのか? あるいはそれらの組み合わせか? 調節因子であるならば、何を調節しているのか? 細胞内小胞の統合性のための損傷後の修復や除去の調節機能は、ガレクチンの調節機能の有力な候補である2,29,73,74。特定の糖タンパク質におけるグライコフォームを介した細胞表面滞留時間や細胞内移動のための調節機能も有力候補に挙げられ、実験によっても十分に支持されている9,10,49,50,52。細胞膜のサイズやターンオーバーを促進したり監視したりする機能を担っているのだろうか? あるいは、細胞内に入ってくる特定の糖タンパク質のグライコフォームを狙って選択的ソーティングを行っているのであろうか?8。このような様々な機能を反映するような一種のガレクチントーヌス(編集者注4)を定義する、又はポイントを設定することは可能であろうか?

編集者注4:tonus、既知のものも未知のものも含めた多様なガレクチン機能に関連して変化するパラメーター。

11. ガレクチンのin vivo機能

多くの報告から、ガレクチンはin vivoにおいて、ガレクチンを生成する細胞内で、又はその近傍の細胞への移動後に(パラクリン作用)、機能することが示されている。血清中の濃度は、ガレクチンが長距離にわたって作用するには低すぎるように思われるが、上述のように、極めて低濃度のガレクチンでも有効な作用もあるため、可能性は除外できない。骨髄移植や部位特異的遺伝子欠損技術などを用いた複数のin vivo実験において75-77、ある細胞で生成したガレクチンが別の細胞に影響を及ぼすことが示されている。この作用と、上述の、ガレクチンの遺伝子欠損によって失われた機能を、外部から添加したガレクチンによってレスキューできるという事実を合わせると、ある細胞のガレクチンが別の細胞に運ばれ、その細胞を調整(tune)するという考えは成り立ちそうだ。受け入れる側の細胞では、ガレクチンは例えばGL-Lectメカニズムに従って糖タンパク質のエンドサイトーシスを促進することや9,26、エンドサイトーシス、及びエキソサイトーシス経路の細胞内小胞に集まることができる。よって、おそらくは糖タンパク質のソーティングに影響を及ぼし、受容体の表面滞在期間を調節したり49,50,52、トランスフェリンやハプトグロビンのような流入糖タンパク質の細胞による処理8,61を変化させたりするだろう。例えば、線維性疾患やがんのいずれでも、マクロファージ由来のガレクチン-3が、線維症において線維芽細胞を調節、ないし、がん細胞を保護する、一つの鍵になる成分であるようでもある75,76。しかしこれまでのところ、その本質的な機能の表面的な部分のみを論じているだけである。さらに研究すべき、追加の相互作用、経路や生物学的作用はたくさんある。in vivoのガレクチントーヌスたるや如何? なぜガレクチン-3の発現は線維性疾患とともに誘導され、なおかつ動物実験結果からは、疾患を悪化させるように見えるのか? ガレクチン-3の発現増加がもつ優れた有益な面とは何だろうか? 動物実験とは対照的に、ヒトの線維症やその他多くの慢性疾患は、長い時間をかけて発症する。それらは、何らかの調節の継続的な悪化ととるべきか、それとも一連の小さなまれな傷害と考えるべきなのか? いずれのシナリオであれ、ガレクチンはどのような役割を果たしているのか?

12. 創薬ターゲットとしてのガレクチン

ガレクチン糖鎖結合部位に対する強力で特異的な低分子阻害剤を設計することが可能になっている―ガレクチンは創薬標的である45,46。これらの阻害剤のいくつかは、動物モデルにおいて有望な治療効果を示しており71,72、臨床試験でも疾患のバイオマーカーに対して有望な効果を示しているものもある78。しかし、治療効果については、より大規模な研究の完了を待つ必要がある。動物とヒトの両方における興味深い所見として、ガレクチン-3阻害剤は、例えばマクロファージ内のガレクチン-3濃度を低下させることがある75,76,79。これはどのようなメカニズムによるのか? 抗菌薬を除くほとんどの治療薬については、ガレクチン阻害剤がガレクチンの機能を完全に消し去ることは難しいが、狙いとしてはむしろ、機能を部分的に阻害し、おそらくはガレクチンの調節の設定ポイントをずらすことであろう。

柑橘ペクチン由来の修飾多糖の効果を示唆する論文が数多くある。問題はそれらの効果がガレクチン阻害によるものだと主張している点だ。しかし、この主張は誤りである。これらの多糖はどのガレクチンとも結合し難く、また他の(編集者注:ガレクチン阻害)物質と比較しても、まったく特異性がない80,81。したがって、読者は、(編集者注:それらの薬物作用機構は)ガレクチンの阻害であるというような実験的証拠に基づかない仮説には縛られずに、これら多糖の効果を考えなければならない。これも、先に述べた「悪魔は細部に宿る」のもう一つの例である。


謝辞

原稿を丁寧に読み、コメントをくださった以下の方々に謝意を表する:
Ludger Johannes(Institut Curie, Paris)、Ralf Jacob(University of Marburg, Germany)、Ulf J. Nilsson(Lund University, Sweden)、Rob Slack(Galecto Inc., Stevenage Bioscience Catalyst, UK)。


注1:ガレクチンと糖の相互作用についての構造学的そして生化学的分析、H. Leffler、Glycoforum原稿準備中


日本語訳編集および編集者注:平林淳、佐藤祥子


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