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Current Issue

Advances in Human Glycome Atlas Project (HGA)

糖鎖合成・分解経路可視化ツールGlycoMaple

藤田 盛久

last updated 2025/12/01 (Glycoforum. 2025 Vol.28 (6), A22)

糖鎖は、修飾タンパク質の安定性、細胞内局在やターゲティング、細胞接着、細胞間相互作用、情報伝達など、多様な生命現象に関与する重要な分子である。鋳型をもたない糖鎖は、多彩な構造をとり、複数の糖転移酵素や糖加水分解酵素の連携により段階的に合成・分解される。糖鎖には異性体や電荷を有する構造が含まれることも多く、糖鎖構造の解析には高度な技術と経験が求められる。そのため、目的とする細胞や組織でどのような糖鎖が合成されているのかを把握することは容易ではない。こうした課題を解決する手段の一つとして、糖鎖生合成経路を簡便に可視化できるツール「GlycoMaple」が開発された。GlycoMapleは、細胞・組織のRNA-seqデータから得られる糖鎖関連遺伝子の発現情報に基づき、糖鎖の合成および分解経路を視覚的に表示し、生成されうる糖鎖構造を推定するものである。さらに、異なるサンプル間での比較によって、糖鎖代謝経路の違いを直感的に把握することも可能となる。本ツールは、糖鎖構造解析を補完する手段として有用であるだけでなく、糖鎖改変の設計や疾患マーカーの探索といった幅広い研究分野への応用が期待される。本稿では、GlycoMapleの開発背景、利用方法、活用事例、そして今後の展望について概説する。 ...and more

Cellulose

セルロースナノファイバーの効率的な調製とその構造・機能

磯貝 明

last updated 2025/12/01 (Glycoforum. 2025 Vol.28 (6), A23)

再生産可能で大気中のCO2の固定化物である植物セルロースの有効利用・利用量拡大が期待されている。なかでも、植物セルロース繊維から調製されるセルロースナノファイバー(cellulose nanofiber:CNF)は、新規バイオ系ナノ素材として注目されている。元々植物セルロース繊維が、結晶性のナノファイバーである「セルロースミクロフィブリル(cellulose microfibril:CeMF)」の集合体であることは知られていた。しかし、CeMF間は無数の水素結合で強固に結合しているため、1本1本のCeMF単位に分離したCNFをこれまでは調製することはできなかった。我々は、水系常温常圧の触媒酸化反応を植物セルロース繊維に処理することで、完全ナノ分散化CNFが調製できることを報告した。本稿では、そのCNFの調製方法と原理、得られたCNFの構造と機能、複合化に関する研究成果について概説する。 ...and more

Glycotopics

機械的に堅牢なのに容易に代謝される超分子プラスチックの合成

平野 英司 / 相田 卓三

last updated 2025/12/01 (Glycoforum. 2025 Vol.28 (6), A24)

廃プラスチックが深刻な環境破壊を引き起こしており、地球温暖化への警笛が鳴らされている。この問題の解決を握ると期待されているのが超分子ポリマーである。我々は、共有結合でできた従来のポリマーでは実現できない魅力的な固体物性を有する「SDGs時代に活躍する真に革新的なポリマー材料」の開拓を目指している。ここでは、破格の力学強度を有していながら、環境中の電解質に応答し、原料まで分解される超分子プラスチックについて紹介する。 ...and more

Glycotopics

マンノースを認識する天然物・プラディミシンA:その分子認識機構と応用

中川 優

last updated 2025/12/01 (Glycoforum. 2025 Vol.28 (6), A25)

プラディミシンA(PRM-A)は、放線菌が産生する天然物である。1990年代にPRM-Aがマンノース(Man)と特異的に結合する類稀な低分子化合物であることが明らかにされて以来、「PRM-AがいかにManを認識しているのか」という点には大きな注目が集まっていた。しかしながら、PRM-Aは溶液中で凝集することから取り扱いが難しく、その分子認識機構の解析はほとんど進展していなかった。我々は固体の核磁気共鳴(NMR)法を利用して10年以上に渡ってこの問題に取り組み、近年PRM-AとManの結合様式の概要を明らかにした。さらに、PRM-Aに基づいてMan含有糖鎖の検出ツールや感染症薬リードを開発できることを実証しつつある。本稿では、我々が明らかにしたPRM-AのMan認識機構を概説するとともに、糖鎖研究や創薬への応用可能性について論じる。 ...and more

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