ヒューマングライコームプロジェクト (Human Glycome Atlas project, HGA)は、東海国立大学機構、自然科学研究機構、そして創価大学の3機関が協力し、ヒトに存在する糖鎖と生合成機構を網羅するべく研究開発を行っている。ここでは、セグメント4TOHSA構築ユニットが開発しているナレッジベースTOHSAにおけるデータベースの全体像を紹介する。 ...and more
糖尿病と、肥満および肥満に起因する健康障害を合併した肥満症は、世界的な健康問題であり、新たな治療戦略が求められている。これら、生活習慣病の治療の基本となるのは食事療法、運動療法などの日常生活習慣の改善である。近代の砂糖の大量消費に伴い、砂糖の過剰摂取は糖尿病、肥満症、心血管疾患などのリスク増加に関係し、砂糖の代わりとなる安全な代替甘味料の関心が高まっている。代替として人工甘味料を使用することで、肥満・糖尿病の予防や治療に有用な可能性が指摘される一方、人工甘味料が糖代謝を悪化させる可能性が報告されており、注意が必要である。そんな中、天然由来の希少糖であるD-アルロースの2型糖尿病患者における有効性について、我々は臨床研究を通して検証を行い、糖代謝を改善する可能性について報告してきた。本総説では、D-アルロースの糖尿病および肥満・脂肪燃焼への影響に関する最新の知見を整理し、その医療応用の可能性を検討する。 ...and more
軟骨は自然再生しない組織であり、変形性膝関節症などの患者数は増加の一途をたどっている。現行の治療法には限界があり、新たな再生技術の開発が急務である。筆者は、木材の骨格構造を保持しつつ、セルロース間の水素結合を制御することで、関節軟骨と同等の剛性および含水率を持つ木材由来スポンジハイドロゲルを開発した。さらに、本スポンジハイドロゲルは軟骨を超える圧縮強さと形状復元特性(クッション性)を有する。本スポンジハイドロゲルは、in vitro試験において、細胞毒性を示さず、ヒト間葉系幹細胞の軟骨分化を促進した。また、in vivo試験において、ウサギ大腿骨の軟骨欠損部への移植後4週で軟骨細胞外マトリックスが形成され、12週で欠損部全体が硝子軟骨で修復された。本スポンジハイドロゲルは、現行治療法の課題を克服するとともに、森林資源を活用した持続可能な軟骨再生材料として期待できる。 ...and more
ユビキチン-プロテアソームシステムは真核生物における主要なタンパク質分解系である。ユビキチン化は、タンパク質のリジン残基に起こる翻訳後修飾として知られている。通常、鎖状に連なったユビキチン鎖が形成され、鎖の形状により異なる作用を示す。最近、ユビキチン化は脂質や糖などのタンパク質以外の生体分子を修飾しうることが相次いで報告され、ユビキチンワールドは拡大の一途を辿っている。ここでは、希少疾患NGLY1欠損症でみられるプロテアソームの転写因子Nrf1の糖に起こるユビキチン化について紹介する。 ...and more