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Current Issue

Advances in Human Glycome Atlas Project (HGA)

HGAセグメント2:迅速グライコプロテオミクスにおける前処理の自動化

半澤 健 / 中嶋 和紀

last updated 2024/10/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (5), A16)

2023年4月に始動したヒューマングライコームプロジェクト(HGA)では、科学目標の一つとして、ヒト糖鎖精密地図を参照に大規模な集団の個人別のグライコプロテオミクスを行い、ヒト疾患糖鎖関連カタログを作ることを計画している。その年次計画では、前期5年間は研究対象として認知症と老化に焦点を絞り、血漿と血清を中心に2万検体を解析する。後半5年間は、さらに対象の疾患を拡げて、20万検体の解析に挑む。我々のユニットでは、グライコプロテオミクスの世界標準法を確立、さらに全自動化し、大規模コホートのグライコプロテオミクス解析を進めていく。 ...and more

Rare Sugars

希少糖生産の体系化:生産戦略図「イズモリング」の考案とその進化

深田 和宏 / 何森 健

last updated 2024/10/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (5), A17)

一般的に知られている単糖には、炭素数3のトリオースから炭素数7のヘプトースまでのものがあるが、本シリーズではこのうち主に炭素数6のヘキソースを扱う。興味深い生理活性を有する希少糖には炭素数6のものが多い。その理由は一概には言えないが、生物ではD-glucoseをはじめとするヘキソースの代謝がメインであることに関係していると思われる。シリーズ第二話の本稿では、全てのヘキソースを計画的に生産するための戦略図(イズモリング)の開発経緯と、完成した生産戦略図の意義、実際にイズモリングに従って希少糖生産を進める中で明らかになってきた問題点、そして、その問題点を解決すべく進化させた新しい希少糖戦略図(イズモリング Ⅱ)について記す。新しい希少糖戦略図で用いられた単糖のフィッシャー投影式の簡易な表示法(Izumofleet formula)についても概説する。 ...and more

Chitin and Chitosan

キチン分解物からの生物機能分子の設計と合成

尾形 慎

last updated 2024/10/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (5), A18)

キチンのバイオマスとしての潜在能力から考えると、その利用は十分とは言えない状況にある。それは、キチンが木質バイオマスであるセルロースと比較して、一般有機溶媒への溶解性が低く、それが加工性や利用性の低下をもたらしているためである。我々の研究グループでは、キチンのバイオリファイナリー研究の一環として、キチンに比べて水への溶解性が高く、加工特性も格段に向上するキチン分解物に着目している。キチン分解物はキチンから工業的に製造されるGlcNAcとキチンオリゴ糖(2糖~6糖程度)の混合物である。本稿では、我々がバイオマス資源であるキチン分解物の利活用に焦点を当てて行った研究の内、生体内糖鎖の再構築と生物機能分子の創製について紹介する。 ...and more

Cyclodextrin

ペプチドのバイオミメティクスとしてのシクロデキストリン誘導体による抗菌物質創製

山村 初雄

last updated 2024/10/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (5), A19)

シクロデキストリン(CD)はブドウ糖が環状に連なった1ナノメートルの大きさを持つオリゴ糖である。その環状構造がつくる空洞にさまざまな分子を取り込む性質をもつ。この現象は包接と呼ばれ、CDは学術的な研究の対象であるだけでなく、実際に食品、化粧品、医薬品などにも広く利用されている。このようにCDは包接という大変興味深く有用な性質を示すが、多数のヒドロキシ基を持つ分子であることも重要な特徴である。一般にヒドロキシ基は有機化学的な手法によってさまざまな官能基に変換することができる。したがってヒドロキシ基を反応点にしてCDに化学修飾を施すことで新たな機能を持つ誘導体が合成できる。ここでは、著者らがCDに陽イオン性基と疎水性基を導入することで細菌の細胞膜を障害して抗菌性を示す物質の創成に取り組んだ研究について述べる。 ...and more

Glycotopics

HPLCを用いた糖鎖合成の自動化

Alexei V. Demchenko

last updated 2024/10/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (5), A20)

糖質科学分野における研究開発の急速な進展により、迅速かつ効率的で、簡便な糖鎖合成手法の開発が求められている。糖鎖合成の高速液体クロマトグラフを用いた自動化(HPLC-A)は、専門家か否かに関わらず、入手しやすい原料を用いて、誰もが利用できる特性から、この需要に応えるものとして期待される。現在の糖鎖合成法は、非常に洗練されているがゆえに、操作も複雑である。対照的に、HPLC-Aは、多くの科学者がすでにHPLCを使用できる状況にあるため、非常に利用しやすい手法となる。自動合成では、標準的なHPLCシステムを用いてすべての試薬を供給することにより、操作が簡便になるだけでなく、すべてのステップの反応をリアルタイムでモニターできる点も特長となる。 ...and more

Glycotopics

tRNAの糖付加修飾と生理機能

鈴木 勉

last updated 2024/10/01 (Glycoforum. 2024 Vol.27 (5), A21)

タンパク質合成のアダプター分子であるtRNAにはさまざまな化学修飾が含まれており、これらはtRNAの機能に重要な役割を担っている。キューオシン(Q)は7-デアザグアノシン骨格およびシクロペンテン環を持つことが特徴であり、バクテリアおよび真核生物に広く存在するtRNA修飾である。ヒトや脊椎動物のtRNAには、Qにガラクトースが付加したガラクトシルQ (galQ)と、マンノースが付加したマンノシルQ (manQ)が存在する。これらの糖付加Q修飾の機能は、その発見から約半世紀もの間、不明なままであったが、最近私たちはgalQとmanQの形成を担う糖転移酵素を同定し、糖付加Q修飾の生合成、タンパク質合成における機能、さらには生理的な役割を解明した。 ...and more

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