エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ENGase)は、アスパラギン結合型糖鎖(N-型糖鎖)のN,N-ジアセチルキトビオース構造に作用し、β1-4グリコシド結合を切断するエンド型の糖加水分解酵素である。糖タンパク質上のN-結合型糖鎖を切り出すことができるため、糖鎖構造を解析するための研究ツールとして利用されている。また、ENGaseは、糖タンパク質上の糖鎖リモデリングにも利用可能であり、創薬研究への応用が進められるなど、産業上も有用な酵素である。ENGase研究を進める上で、ENGaseの糖加水分解活性を簡便に検出する手法は必要不可欠であるが、ENGaseの活性検出法の多くは煩雑な操作が必要であった。本稿では、糖鎖の化学合成を基盤として、ENGase活性を簡便に検出するための「切れたら光る糖鎖分子プローブ」の開発について紹介する。 ...and more
食物繊維は,整腸作用や血糖値・血中コレステロールの上昇抑制など多彩な生理機能をもつことが知られ,その多くは腸内細菌による発酵で生じる短鎖脂肪酸や,難消化性に由来する物理化学的作用によって説明されてきた。一方,水溶性食物繊維であるペクチンはヒトの消化酵素では分解されず,大腸での発酵に先立って小腸上皮と直接接触しうる。近年,このペクチンが小腸絨毛の形態を変化させ,上皮細胞の細胞外マトリックスや細胞表面分子と構造特異的に相互作用することが見いだされてきた。本稿では,ホモガラクツロナン主鎖とラムノガラクツロナン-I側鎖という異なる構造ドメインがそれぞれ異なる標的にはたらくという観点から,ペクチンと腸管上皮細胞との相互作用に関する知見を概説するとともに,ペクチンが上皮細胞に認識される「化学情報」としてはたらくという作業仮説を提唱したい。 ...and more