オリゴ糖を人工的に合成する手法は酵素法と化学法とに大別され、それぞれに様々な合成手法が存在している。酵素法は糖転移酵素あるいは糖加水分解酵素を用いてオリゴ糖を合成する手法であり、オリゴ糖の水酸基に保護基を導入せずに合成出来る点にメリットがある。一方、化学法は有機合成化学的手法に基づいてオリゴ糖を合成するため、水酸基の保護・脱保護の工程が必須となるが、天然・非天然のオリゴ糖を自在に合成出来る点にメリットがある。オリゴ糖の化学法による合成のために様々なビルディングブロックがこれまでに開発され、同じビルディングブロックについても何種類もの活性化法が存在している。本項では取り扱い容易なビルディングブロックとして幅広く利用されているチオグリコシドを、電気化学的に活性化してグリコシド結合を形成する電解グリコシル化反応について紹介する。 ...and more
エビやカニなどの外骨格を支える構造多糖であるキチン・キトサンはセルロースに次ぐ産生量の海洋バイオマスであるが、未だ利用の進んでいない天然資源である。これまでに様々なアプローチでキチン・キトサンを高付加価値材料とする取り組みが検討されてきた。材料を高機能化するためには化学的修飾と形状・構造複雑化とが方針として考えられる。本稿では、キトサンに微粒子形状を与え、さらに無機物である炭酸カルシウムと複合化することで新たな機能性材料を調製する方法について紹介する。 ...and more
カニ殻などに含まれるキチン・キトサンには様々な生体機能が知られている。特に、50年ほど前よりキチン・キトサンの有する創傷治癒促進効果について多くの研究がなされている。現在では、キチンを原料とする創傷被覆材も医療現場にて使用されている。今回は、キチン・キトサンと創傷治癒促進効果について解説する。 ...and more
天然多糖類のキチンやキトサンはカニやエビ殻などから抽出されるムコ多糖で、生体との親和性が高く多方面で研究されている。微生物との相互作用もあり、農業分野や食品分野での展開も広く全世界に広がっている。溶液状だけでなく繊維、多孔質ビーズ、スポンジなど形態を変えてそれぞれの用途展開が広がってきている。最新の技術でキチンやキトサンのナノファイバーに関する研究も進み、サイズ効果、比表面積効果がもたらす可能性の広がりに期待が膨らむ。 ...and more